テープ起こし

あなたも「発言記録士」

 日本速記協会から「発言記録作成標準」というテキスト(1300円、A4判41ページ)が出た。このテキストで興味深いのは、オモテ表紙の裏側(出版界で「表2(ひょうに)」と呼ぶ場所)に書いてある、『発言記録士』の概念について という部分。

 本協会は、発言記録作成に携わる専門技術者をあらわすものとして「発言記録士」という概念・用語を採用する。

 だそうで、発言記録士の中に速記士も含まれている。つまり、速記記号を使わず録音媒体から起こす人間も「発言記録士」であるわけだ。

 もちろん内容もいいのでおすすめしたいけど、なにしろ現金書留で代金を送るので、現金書留封筒20円+現金書留料金510円、計530円もかかる。しかも台風など来ると郵便局に行くのもちょっとおっくうだったりするので、ネット上のショッピングカートで注文して、代金は振り込みというのをぜひ要望したい。

9月16日追記:
別のページに次のような記載がありました。これによると、日本速記協会の会員でないと「発言記録士」ではないようです。

 なお、ここでいう「発言記録士」については、協会において発言記録士の定義を確立し、技能検定試験などを実現するまでの間は、「協会の会員である速記士、発言記録作成者」と読みかえるものとする。

|

速記の教材で練習しよう

 テープ起こしの練習には、iTunesで「聴く日経(日本経済新聞ダイジェスト版)」か何かを取り込んで起こすというのもいい。「聴く日経」は1日分が15分程度で、mp3でダウンロードされる。これをおこしやすか何かで再生しながら練習する。
(どこにダウンロードされるのか探したら、マイドキュメント→マイミュージック→iTunes→iTunes Music→Podcast、というやたら深い階層に保存されていた)

 しかし、「聴く日経」だと正解がついてない。
 そこで次に見つけたのが、日本速記協会が出している「速記技能検定問題」。正解がついているから、自分が起こしたデータと見比べることができる。
 ただし気をつけなければいけないのは、正解は当然速記表記だということだ。「ふえる」がひらがなとか、副詞の「余り」が漢字なのは、私には珍しく見える。私が主に使っている『記者ハンドブック』表記では、「ふえる」は「増える」「殖える」を使い分け、副詞の「あまり」はひらがなだからだ(例:あまり見かけない 名詞のときは漢字。例:百人余り)。

 もちろん、テープ起こし需要の半分ぐらいは議会もので、これらはたいてい速記表記のようだし、議会が多い事業所ではそれ以外の仕事も速記表記で統一していたりする。
 だから、これから始める人は速記表記から入るほうが賢いかもしれない。『記者ハンドブック』などのいわゆるマスコミ表記はとっつきやすくて、あとからでも覚えられるから。

日本速記協会 「一般の方・会員の方共通のページはこちらから」→「当協会の出版物」
※速記技能検定問題(カセットテープ、ミニディスク) 解答がついてくるので、わざわざ「速記技能検定問題集」を別に買う必要はない。私は知らなくて買っちゃったけど。

|

テープ起こしは誰でもできる

 テープ起こしは誰だってできる。料理や皿洗いが誰だってできるのと同じだ。私だって、東京で一人暮らしを始めた時点から数えればもう20年以上、ご飯を作り、お皿を洗っている。
 だが、料理を仕事としてお金を稼ごうとすれば、私では到底つとまらない。皿洗いだって実は向き不向きがあり、上手下手があり、続く人と続かない人がいる。

 テープ起こしも、日本人が日本語を聞き取って入力するのだから、1万8,000字(音声1時間分の平均文字数。実際は音声によってかなりバラつきがある)のうち1万7,000字程度は、誰が起こしても同じになるだろう。
 私は、仕事が重なったときは一部を誰かに頼む。だけど誰でもいいというわけにはいかない。1,000字も間違っていたら、後のチェック・修正にかかる時間はすさまじく、自分で起こすより手間がかかるほどなのだ。

 1万8,000字のうち20字程度直せば納品できる、卓越したテキストを作る人というのはちゃんといる。
 その20字も、音声の聞き取りにくい部分を、違う耳で聞いたことで私がたまたま聞き取れた、という程度のことだ。あるいは、私はそのクライアントからの仕事を継続して受注しているから、音声に出てくる特殊な業界用語を知っていたとか。

 そういうすごい人には、できるだけ直接会って取材するようにしている。今度のセミナーでは、取材で探り出したテープ起こしの練習方法なども話したいと思っている。

|

受注は好調、しかし

 景気が良くなってきたらしい。何年も音沙汰なかったクライアントから、久々に仕事をもらうということが増えてきた。
 現在のクライアント各社からも、今年に入って受注量が増えている。

 おかげで、楽天ビジネスへの出展は休止状態。今年は見積り提出をしていない。
 せっかく立ち上げた営業ホームページも休止状態。「業務多忙のため、当Webサイトからのご予約受付を中止しております」という表示を出した。

 私のような、主に出版社からテープ起こしを受注するタイプは、ある程度の品質を保って納品していればさほどの営業活動は必要ない。
 同じクライアントがずっと発注してくれるし、クライアントがまわりの人に紹介してくれる。最初は同じ編集部、そのうち違う編集部からも発注してもらえるようになる。さらにフリーのライターさんがからむ仕事だと、その後はそのライターさんがよその出版社での仕事でも指名してくれて、今度はそちらの出版社からも仕事が入ったりする。

 入力者向けの自主制作本や入力講座の仕事が縮小してきたとき、この路線に戻ろうとしたが、ちょうど景気も悪くて自然には仕事が増えなかった。そのため、あわてて楽天ビジネス出展や自前の営業サイト作成に取り組むことになった。それらの成果で新たなクライアントもできた。
 そして景気が良くなって、1社1社の発注量が増えた。

 今後は期待できそうだ…問題は私の体調だ。このところ、ちょっと根を詰めるとひどく疲れ、しかも疲れがなかなか抜けない。そう、これが40歳を過ぎるということだったのだ。

|

テープ起こしは誰の仲間か

 入力系の仕事を「データ入力系」「テープ起こし系」と大きく2つに分けると…。
 と書いていつも思うのだが、テープ起こしに携わる人たちは「自分は入力者である」とか「入力系の仕事をしている」とは捉えていないかもしれない。

テープ起こしという仕事を分類すると?
・入力者(紙の原稿を入力する入力者)に近い
・文章を作るという点でライターに近い
・書類作成業として、むしろ事務職に近い
・「しゃべり言葉の文字化」として、要約筆記やテレビのテロップ作成などの仲間
・当然「速記」の仲間

 テープ起こしは文章力がないと務まらないから、ライターと掛け持ちしている人は多い。また、社内の会議で記録を取ることなどは普通の会社員が普通にやっているから、事務職の延長という感じもする。要約筆記などは福祉系の仕事(専門ボランティア?)だが、テープ起こしに興味を持つ人は要約筆記にも興味を持つタイプなので、両方やっている人はわりといる。
 録音機材が出現して以来、録音した音声から起こすという仕事が可能になったわけで、もともとは速記者というものが存在するだけだった。だから、テープ起こしが速記の仲間というのは当然正しい。

 結局、テープ起こしは上記のどの要素も持っている。その人が請け負う仕事の傾向によって、どの要素が強めに出るかということなのだろう。

 私は入力者でありライターでもある。テープ起こしをするときは、どちらの感覚や知識も動員する。仕事によってどちらを強めに出すかは違うが。
 紙の入力は単価が下落しているし仕事量も不安定なため、優秀な入力者がかなりの人数、テープ起こしに転向した。これも統計がないので数字を挙げての証明はできない。私がよく見聞きするというだけの話だ。

|