データ入力とその周辺2

好みではない、でもやるときはやる

 私は全体的にはデータ入力が好きだが、名簿や名刺の入力は好きではない。
 私が好きなのは、データ入力の中でもアンケート回答の入力やネットでの情報収集などだ。名簿入力系は、好きでないからこそ、きちんとした単価でクライアントに見積りを出す。金額が通らなければ、受注しなければいいだけのこと。

 とはいえ、受注すればあれこれ工夫してみる。
 名刺に関してはOCR(原稿を画像としてパソコンに取り込み、その画像から文字として認識させる)が役に立つ。私は富士通のScanSnapというスキャナで名刺を読み取り、「名刺OCR」というソフトで文字認識させている。
 ScanSnapが、名刺を連続してシュパッ、シュパッと取り込む様子はかわいらしい。「名刺OCR」も、思ったよりは正確に文字を認識する(ただし、凝ったデザインやカッコ良すぎる書体は全くムリ。ありふれたレイアウトにそっけない明朝体の名刺が、認識成績は一番いい)。

 日本語は似た漢字が多いから文字認識は大変だろう、英字や数字は問題ないだろう…と、やる前は思っていた。ところが、OCRは単純な文字が苦手だ。Iとlと1(大文字アイと小文字エルと数字の1)などは、しょっちゅう間違って読み取られる。
 そこで、名刺OCRでデータ化したあと秀丸エディタ上で確認する。文字に強調表示をかけて、大文字と小文字と数字をそれぞれ別の色で表示させたりすると、見落とした認識ミスを発見できる。
 『月刊在宅入力者』を作っていた頃、はるばる新幹線でアーキーさんのお宅へ取材に行き、そのとき秀丸での色分け表示方法を実際に見せてもらったのが、役に立っている。

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もはやスパムメールも来ない

 1日平均80通のスパムメールが来る。ウイルスメールのほかに、英語でわからないけど何かを売りますというもの、そして多いのが「逆援助をプロデュース」「高級婦人との無料の出会いを提供」系のメール(うっかり好奇心でURLをクリックすると、「会費○万円を払え」というメールが来たりするらしい)。あとはたまに、借金をまとめませんかという勧誘メール(住宅ローン以外ありませんからっ)。

 在宅ワーク勧誘系のスパムメールが全然来ない。以前は「初心者歓迎」「入力は誰でもできるのです」「みんなこんなに稼いでいます」という、いかにも怪しいメールがよく来たんだけど。
 来なくなったのはいいことだ。だけど、在宅ワークというキーワードが注目されなくなっているのかもしれない。

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名簿・名刺は1対1で

 先日、「名簿の入力は請け負った会社が社内スタッフにやらせるべきで、在宅の個人に出すべきではないように思う」と書いたけど、私自身は名簿・名刺の入力を請け負っている。

 四月堂の代表(私だ)が請け負って、四月堂の社内スタッフ(私だ)が社内(?)で作業しているのだから、矛盾はない。専用の入力ルームがないのが大いなる難点だけど。

 名簿や名刺のデータ入力を請け負うときは、個人や企業から直接に受注している。また、1人で全数処理できる規模の案件のみを請け負うから、自分が外注に出すわけでもない。
 相手は1人または1社、こちらも私自身のみ。
 このぐらいシンプルであれば、個人情報に関して何かあったときの責任も明確だ。

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データ入力コースの不人気

 「オンライン講座・データ入力コース」の教材を作っているとき、メーリングリストで告知してデータ入力についてのアンケートを行った。2004年秋のことだ。
 データ入力の仕事をしている人は、問題点として単価を上げる人が多かった。それは予想できたが、「あまりに単価が安いのでデータ入力の仕事をやめた」という回答が予想以上に多かった。

 受講した人も、たちまち仕事に失望してやめてしまうかもしれない。それだったら講座に何の意味があるだろう。

 私自身の仕事は、テープ起こしもデータ入力も時給換算でほぼ同額だ。案件によって「時間がかかって割に合わない」「思いがけなく簡単で儲かった」というばらつきはあるにしても、やめたくなるような低単価のデータ入力はしていない。
 ここにギャップがある。ギャップの原因は、わかるようでわからない。

 私の場合は、早く始めたというメリットがあるのかもしれない。
 まだ企業側に1人1台パソコンがない時代に始めて、つまり出す側もあんまりわかってないので、何を納品しても感謝してくれた。世の中のパソコン事情がレベルアップするにつれて、私も勉強してレベルアップを図ってきた。
 今から始める人は大変だ。エクセルで言えば、出す側が関数やマクロを活用してスピードアップできるのに、プロであるべき入力者側が文字を打つことしかできないという状態。パソコンそのものに不慣れで、せいぜいメールのやりとりができる程度で始めようという人には、必要なスキルが高度すぎる。

 私のメリットは、あとはたぶん東京に住んでいるということ。
 私も、最初は入力会社に登録したり入力グループに入ったりして、単価の低い仕事をやってきた。ただ、わが家の経済状態からすれば、稼げないならパートに出たほうがましで、ある程度経験を積んでからは単価のいい仕事にありつけるよう必死に努力した。
 その努力とは、結局いいお客さんを見つけるということに他ならない。東京は事業所が多いから仕事も多い。入力者も多いから競争も激しいが、それでも地方から見れば「いいわね、東京は」という面はあるかもしれない。

 いろいろなところ(SOHO支援団体など)のデータ入力講座は次々打ち切られていった。データ入力という仕事の不人気はどうしようもなかった。私の初級データ入力コースも、1年ちょっとで自分から言い出して終わりにした。
 今でも、あの講座は違う作り方をしたほうが良かったんじゃないかと、よく考える。初級コースよりむしろ、今やっている人が希望を持って続けられるようなスキルを扱うこと、つまり中級ぐらいの内容にしたほうが、誰かの役に立ったかもしれない。

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