どの法律が助けてくれるのか
異常なまでの低単価で入力を作業者に発注する一部の業者を、取り締まれないのか。あるいは単価の下限に規制はないのか。
都道府県別の最低賃金というものがある。しかし、それは雇われて働く人のための決まりだ。在宅ワーカーは労働法の保護を受けられない。
「あんたは自営業者でしょ、自分で仕事を選べるんだから、気にくわない仕事は受注しなければいい」という一言で片づけられてしまう。
しかし、入力請負をしている人の多くは、独立自営といえるほど強い立場ではない。どちらかといえば内職者に近い。
内職者であるならば、家内労働法の保護を受けられるはずだ。
ところが、当の入力者自身が内職という言葉を嫌う。手内職よりはもっと格の高い、専門的な仕事をしているのだ、という自負だろう。
(この自負もどうかと思う…縫製等だって必要な技術はあり、向き不向きもあり、決して誰にでもできる仕事ではないはずだ)
私自身は、在宅ワーク2年目の終わりから「本を作って売る」などという内職ならざる仕事を始めてしまったが、それまでは登録していた入力会社から内職証明を書いてもらって、保育園に提出していた。
在宅ワーカー・SOHOが集まるメーリングリストなどでは、「私たちは個人事業主なのだから、その自覚を持って」と発言する先輩ワーカーが多い。
そう発言する人たちは、事実「個人事業主」としての立場を確立して活動している。ところが、データ入力系でしかも駆け出しで、運悪く激安系の会社に出合ってしまった人だと、必死にやっても月5,000円稼ぐのがやっとだったりする。そんな人までが独立自営として何の保護も受けられない立場というのは、本当に正しいのだろうか。
私は自主制作本「小さな在宅ワークの経理」で、経理的な部分については「家内労働者等」の「等」という部分に、零細な入力者は含まれる、と主張した。(法律を杓子定規に捉えれば、受注形態や機材の所有その他で「家内労働者」とは言い切れない面があると感じたためだ。実態に即してゆるやかに捉えれば、零細な入力者は家内労働者そのものといえるはずだ)
が、だからといって単価の規制が働くというものでもない。内職の最低単価は全国単位で決められているのではなく、すべての職種に最低単価があるわけでもないからだ。
例えば、縫製工場が多く内職者が大勢いた都道府県では、ボタン付け1個○円という項目を決めていた。入力関係の単価はどの都道府県も設定していないし(たぶん)、まして全国的に規制することなど不可能だ。
ここまで書いてきたように、入力系の仕事のうち特にデータ入力は、入力に関わる大企業は入力に関わりたがらず、下請けした中小零細企業はいかに作業者の単価を下げるかで必死になっている。そして当の入力者自身はあまりにも零細で、団結する力がない。
極端な低価格に出合って嫌気がさし、入力をやめてしまう人が続出しているおかげで、普通の入力グループや、あふれた仕事を発注したい個人が苦労している。今や、人が足りないのだ。
(つづく)
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