2003年の「業務日誌」

ボロくてもローテクでも客は来る

 夫に頼まれて、平日しか営業しない「秋葉原ラジオデパート」に出かけた。
 それは「デパート」ではなく、しかもラジオ売り場ですらない。秋葉原用語で言う「パーツ屋」が集合した建物だ。

 基板、抵抗、スイッチ、IC、コンデンサ、などなどを売っている。さらに、それを組み立てるための工具、ハンダ、コード類、ケース。どんな電気製品も、もちろんコンピュータも、結局は、基板上に抵抗やスイッチ等をハンダ付けして、コードでつないで作ってあるわけだ。

 タカラヅカに男性客が少ない以上に、ラジオデパートの客に女性は少ない。
 電気工作マニアらしき男性以外に、明らかに仕事で来た男性が多い。背広の人も作業服の人もいる。試作品を作っているのかもしれない。
 ある意味で、ここはハイテク最先端なのだ。

 ところが。売る側は驚くほどローテクだ。私は4軒の店で買い物をしたが、レシートをくれたのは1軒だけだ。あとはボールペンでせっせと領収証を書く。レシートをくれた一軒も、音からしてレジはタッチ式のキーではなく、ガッチャン!と数字を押し込む旧式の機械。
 おまけに建物が古い。店は、壁に適当にクギを打って、材木を渡して棚にしていたりする。低い天井、むき出しの蛍光灯、すれ違うのも大変な狭い通路、愛想のない店員。

 それでも客は来る。どんどん来る。
 店が古くてもボロくても、ここにしかないものを売っているからだ。店員は愛想はないが、不親切ではない。私がおそるおそるメモを差し出すと、手間ひまかけて指定のパーツを選んでくれる。こういう売り方、儲け方もある。

(2003年04月30日)

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定年男性はデータ入力など志さずに…

 私の両親は共に60歳代。
 去年だったか一昨年だったか、例の「IT講習」なるものを夫婦で受講した。父は、インストラクターに質問するとき「あー、ちょっと。ここ教えて」という調子だったらしい。家へ帰ってから、母が父をたしなめた。「若い人であっても、先生は先生。ものを教わるのに尊大な態度をとってはいけない」
 言われれば気づくもので、講習2日目からは、父も態度を改めたという。

 定年後の楽しみ兼ささやかな収入を求めて、在宅入力を希望する男性もいる。だが、私がパートしていた入力会社では、そういう立場の人から応募があっても「ちょっとやめておこう」という話になっていた。
 自分よりずっと年少の者、しかも女性を、ボスとして立ててくれるかどうか。男性側だって頭ではわかっているだろうが、たぶん「あー、ちょっと」的な部分が、つい出てしまうのではないだろうか。

 データ入力の単価は安い。丁重にご説明申し上げているヒマなどない。ミスを指摘したとき、理屈を言わずに「申しわけありません。次から気を付けます」と引き下がってくれないと、時間(=コスト)の浪費になる。

 どっちみち、データ入力は体力勝負だし、眼が衰えてくるとスピードが上がらないから、60歳代以上の人に向く仕事ではない。自分のサークルの名簿を入力するぐらいならどの年代の人でもできるだろうが、仕事としては数をこなさなければお金にならない。会社では、女性でも60歳代以上の人は在宅さんとして採らなかった。
(入力者本人はお金にならなくてもやりたいと思うかもしれないが、入力会社にとっては、たとえば1日50件打つ人より1日200件打つ人のほうがありがたい。)

 女性なら50歳代を採ることはあった。おもしろいことに、女性は、年上であっても使いにくくない。たぶんそれは、入力を志す中年女性は管理職出身だったりはしないからだろう。もちろん使いにくい人もいるが、その割合は中年以外の人と同様だ。
 社会で経験を積んできた男性は、定年後に単純入力作業など目指さず、経験を生かす方向で仕事をすればいいのにと思わずにいられない。

(2003年04月11日)

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テープ起こしサイトは成功しやすい

 「テープ起こし承ります」の営業Webサイトも、大きく言えばネットショップの仲間だろう。サービスを売るサイト。

 テープ起こしを売るのは、ネットショップとしては成功しやすい。テープ起こしという作業がほかの仕事に比べて定型化しやすいからだ。
 「テープ起こし承ります」サイトのほとんどは、料金を明記している。料金は、録音時間のほかに、起こしのレベル・作業日数(急ぎだと特急料金)などの条件で何段階かに分かれているのが普通だ。

 たとえば「Webサイト作成承ります」だと、料金表もこんなに単純にはいかない。あらゆる条件に応じたあらゆるメニューを提示していけば、何度もスクロールしないと見られない長ーいページになってしまう。だからどうしても、代表的なメニューを提示して「あとはご相談の上」ということになるだろう。

(2003年04月08日)

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確定申告は自分でできる

 税務署からハガキが来た。所得税還付のお知らせだ。
 勤め人が年末調整で、12月の手取り収入がいつもより増えて喜ぶように、確定申告者が還付金に喜ぶのが春だ。いつもは3月15日ギリギリに申告するから還付も4月だったが、今年は申告が早かったので還付も早かった。約45,000円。ボーナスがないフリーワーカーの、ささやかだけどうれしいボーナスもどきだ。

 うれしい理由はもうひとつある。
 初めて、自分の力で確定申告を書いたのだ。還付金が申請通りの金額で振り込まれるとは、とりあえず、計算にミスはなかったということだ。もっともあくまで計算にミスがないということで、もし内容的な疑問点があれば、夏ぐらいまでは呼び出される可能性があるのだそうだけど。
 今までは、父にアドバイスを受けていた。確定申告の相談は税理士の仕事とされているので、これは身内のごく非公式なものだ。特に、申告用紙の記入は本人か税理士のみで、父が直接書くのは違法だ。そこで、別紙に書いてFAXしてくれる数字を、私が申告用紙に書き写す形を取っていた。
 でも、「小さな在宅ワークの経理・主婦編」に確定申告は自分でできると書いた手前、今年は父に頼らず、全部自分でやってみることにした。収入・支出に大きな疑問点はないけど、生命保険や損害保険の控除金額、社会保険控除、定率減税の計算などは何度も確認した。

 とりあえず、これで白色申告の方法は一応覚えた、と思う。問題は、今年から青色申告にするかどうかだったのだが…。迷っているうちに申請締め切りである3月15日を過ぎてしまったので、今年も白色、早くても来年からの青色申告ということになる。

(2003年03月21日)

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人を見抜く

 妹いわく、「以前、ある会社の面接代行を引き受けたことがある。今は仕事の関係で請け負えない。その会社が、やってくれないなら面接用のマニュアルを作ってくれないかと言ってきた。でもこれって、マニュアルに頼るものでもないしね。できる人にはできるし、無理な人は無理よね」

 妹は、電話の感触だけで人を選べると豪語している。私も(多少は)できる。入力会社のパートだった時代、電話の感触で、面接に来てもらう人を選んでいた。電話での印象と、会ってみた印象はそんなに違わない。それは営業トークがうまいとかの問題ではない。
 人を見抜く方法を、私は入力会社のチーフから学んだ。チーフはものすごい。登録の在宅ワーカーを常に見ている。
「彼女、最近何か別のこと考えてる。彼女の固定の仕事、誰に引き継がせるか考えておいたほうがいいかもね」
 チーフがそう言い出す。私には前兆は感じられない。でも1週間すると、彼女がやってくる。
「チーフ、ちょっとお話が…」

 営業マンが受注してきた仕事を、誰に出すか。仕事Aに最高の人材を投入すれば、仕事Bの完成度が落ちる。しかもおそらく、今週中に急ぎの仕事Cが入ってくる。その上、仕事Dは、入ってきてしまったらかなりの人数が必要になる。
 いかに入力者を割り振って、どの仕事も合格点を保つか。チーフと私は昼食を取りながらいつも、在宅さんの品定めをしていたのだ。このときのシビアな会話は、その後ずっと役に立っている。

(2003年03月11日)

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