2008年1月 山本牧子さん4

後日談1

 2月2日に「連載のあとに…2」を書き、4日に義父が亡くなった。

 それまでも何回か、義父母宅や病院にノートPCを試験的に持っていってみて、何が足りないと仕事ができないかを確かめた。4日はいよいよ本格的に義父母宅で仕事を開始するべく、万全の用意をととのえて出動した。
 義父はもう声が出せなかったが、うなずくとか首を横に振るとかできちんと意思表示してくれた。のどにパイプ(←何と言うんだろう?)が入っている状態独特の呼吸音を聞きながら、午前中は順調に仕事が進んだ。

 午後、呼吸音が午前中と違うことに気づいた。呼吸の間隔が空いている。大声で呼びかけても反応しない。「交代しますから来てください」と義母に電話して、店へ走る。救急車を呼んだほうがいいかもと伝えて、店番を代わる。近所へ出かけていた夫に電話。まもなくサイレンが聞こえた…。

 ぎりぎりまで自力で頑張り、トイレに行くとかコップを持って飲むとかができなくなったらすぐに、あっさりと。なんとも義父らしい。
 74歳では長生きとは言えないが、ごく自然に呼吸の間隔が空いていって、安らかな最期。だから、明るい葬儀だった。

 クリーニング店は連休しにくい。お客様側に、ワイシャツの枚数とクリーニングに出す期間のローテーションがあるからだ。
 死去当日は救急車を呼んでからシャッターを閉めたが、翌日は営業しながら葬儀の打ち合わせその他。お通夜と告別式の日は休業、きのうはまた営業しながら市役所の手続きや挨拶回り。
 おかげであわただしいし、疲労倍増。私の仕事はほぼストップ。それでも、向こうへ泊まり込んだ夫と違って私は毎日自宅へ戻れたので、就業体験セミナーの掲示板にちょっと質疑応答を書き込むのが、気晴らしになった。

 葬儀のあとというのは、まだまだやることがたくさんあるけど、とりあえず店も私も平常営業に戻った。13日は近江八幡の就業体験・評価会だし、その準備をしなければ。連休明けに納品する仕事もいくつかあるし。
 次回は、私の仕事を具体的にどうしたか、後日談2として書きます。

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連載のあとに…2

 最近よく、長女が赤ん坊だったころを思い出す。
 つかまり立ちやはいはいができるようになると大変だった。きのう届かなかったところに今日は手が届く。きのう開けられなかった戸棚の扉を開けている。そのたびに、物を移動したり扉のストッパーを買いに行ったりした。赤ん坊は毎日成長し、こちらは毎日振り回された。

 今、義父がちょうどその反対だ。坂道を転げ落ちるように毎日悪くなっていく。
 数日前から、錠剤の薬は飲もうとしなくなった。もう固形物は水で流し込むことも無理のようだ。積極的に治療をするような段階は過ぎているから、痛み止めの貼り薬&水薬、口の中で溶ける睡眠薬(←夜6時間ぐらい、あまり苦しさを感じずに眠れる)で、まあ足りているらしい。
 トイレのスリッパをどうするか…という記事を1/24に書いたけど、その悩みもなくなった。義父がトイレまで歩く気力体力を失いつつあるからだ。

 状態が変わるたびに、家族は右往左往する。私も牧子さんみたいに介護の勉強をしておくべきだったかなあ。それでも、この先どうなりそうか、仕事上何をどう準備するのがいいかを牧子さんに伺えたのはとても役立った。

 義父母宅に新しいモバイルPCを持っていっても、充電を忘れた上にACアダプタも持ってきてなかったり、自分の性格が災いしてしばしば宝の持ち腐れ。こんなことでは仕事もポカミスをしそうだ、気をつけないと!
 1月に近江八幡と東京で開催された就業体験セミナーは、今、参加者の皆さんが実際のテープ起こしを体験中。そして評価会が今月中に両会場で行われる。講師系の仕事は好きなので、ギリギリまで自分でやるつもりだけど…、もしもの場合は牧子さんが行ってくださるというのは、本当に心強い。

 配偶者とか子供とかは、いる人もいない人もいる。だけど親は誰にもいる。夫がこの前、ぼそっとつぶやいた。「これをあと3回か…」
 たとえ親がすでに亡くなっていても、今度はその法事などがあるから、結局親とは長くつきあうことになる。今回、いろいろな方からメールをいただいた。老いていく親の問題は共通なのだとしみじみ感じた。

 あっ、そうそう。今回の連載は、毎日 のタイトルがイケてませんでしたな。私はもともと小見出し付けが得意じゃないけど。タイトルをつけるのは、コピーライター的センスと集中力がいるので…今回は集中が足りてなかった。牧子さんごめんなさい。
 というわけで、1月号の連載は例によって翌月にずれ込みながら終わりです。

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連載のあとに…1

(山本牧子さんからメッセージをいただきました。)

 たわいないおしゃべりがブログになって本当にびっくりしましたが、楽しい時間がよみがえってきてうれしかったです。廿さん、ありがとうございました。

 介護と看病が中心になった半年は、人と会うこともなかなかままならない日々でしたが、家族のきずなは深まっていったように思います。
 昨年春、既に肺がんと戦っていたのに、中学1年の孫と将棋をして圧勝した父。夏、病院で床に伏せっていても、わがままな小学4年の孫のことをいつも気に掛けていた父。何よりも仕事の話を一番聞きたがっていた、最後まで仕事熱心だった父。そういうしゅうとに出会えたことは、とてもありがたいことです。
 子供たちもおじいちゃんが大好きで、今も毎日お線香をあげて、何かにつけおじいちゃんのことを話しています。

 年が明けて、気持ちの整理もついてきて、今はあれやこれやとやりたいことがたくさんあります。でも、仕事も山になっています。どうやって時間の折り合いをつけようか思案中。新しいパソコンが、時間の折り合いをつける手助けをしてくれることと思います。
 廿さんとのおしゃべりの時間は、私にヒントとパワーをたくさんくれました。今年はたくさんの人にお会いして、たくさんおしゃべりしたいと思っています。そして、いい仕事もたくさんしたい。やる気があってもままならないのは子育て。レゴ好きの次男に手を焼いたら、廿さんに相談メール(泣き言メールかも……)させてくださいね。これからもどうぞよろしくお願いします。

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在宅ワークは介護に強い

 やっぱり在宅ワークは介護には強いと思う。
 雇われて働く形態では、決められた時間は会社にいるのが基本だ。「今日は病院につきそうから昼間はオフィスに出勤できない、夜中に行って仕事します」と言っても、昼間全然出なければタイムカード上は欠勤ということになってしまう。その点在宅ワークは、仕事を仕上げさえすれば夜中にやろうが問題ない。
 在宅ワークでも、登録型の仕事形態では「再委託禁止」であることが多いが、牧子さんや私のような独立型では、自分ができないとき誰かに手伝ってもらうことは問題ない。

 だから、自分で時間や仕事方法を管理できれば介護とも両立させられる。
 「自分で管理できれば」というところがポイントだ。ここでメンタル面が問われてくる。

 うちの義父は、内臓のがんは手術や抗がん剤でほとんど退治できたのだけど、首に転移したがんは増殖している。おかげで食べにくい。しかも息ができなくなって、年末にのどの緊急手術を受けた。
 命にかかわる手術でないことはわかっていた。でも、義父が手術後に泡を吹いてもがき苦しんでいるのを見てしまうと、やっぱりその日は気分が落ち込んで仕事が手に着かなかった。
※数日でのどの状態は落ち着き、呼吸は手術前より楽になった。

 この先、もっと病状が進行すると、こうなるわけだ。
十分に気を付けるためには、常に誰かがそばにいなければなりませんが、夢を見る時間が長くなり、寝言が多くなってきて、家族がつらい思いをすることも増えてきます。
(牧子さんのメールから。1/24の記事で紹介)

 外へ出ていれば、むしろ仕事時間中は頭を切り換えられるのかもしれない。自宅で仕事するのは、普段でも自己管理はそれなりに大変(おやつの誘惑に負けるとか)なのに、家の中につらさの原因があっては、仕事するのも楽ではないだろう。

あまりにあまりの半年だったもので、バランスをとろうとか、余暇がほしいとか、そんなことを考えている余裕はありませんでした。
(牧子さんのメールから。1/18の記事で紹介)

 できる限りの準備をしつつ、突発的・予定外なことが次々入る覚悟もしながらやっていくしかない。牧子さんのお話を伺って、仕事とわが家の今後がある程度イメージできるようになってきた。感謝。

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