ご近所マニュファクチュア
廿●西武新宿線の中井とか下落合あたりは、川沿いに染色の工房がまとまっているところなんですけど。
奥山●そうですよね。
廿●私、大学を中退して手描友禅の工房に入ったんです。
奥山●え、それは知らなかった。なんでまた…職人になりたかったんですか?
廿●自分のことを、半分わかっていて半分わかってなかった。
座り込んで黙々とやる仕事がやりたかったんです。それは職人系だろうと思って。大学は好きじゃなかったし、着物は好きだったし、たまたま新聞に求人が出ていた工房に飛び込んじゃったんです。でも根本的に間違っていたのは、私は、手が不器用。
奥山●うはは…、実は職人向きじゃなかった(笑)。
廿●そうなんです。入力は手を動かすけど、タイピング自体は物を作らないでしょう。手を動かして物を作るのは全然だめ、お料理とかもヘタだし。
染色は最後のほうの工程で糊を洗い流す、いわゆる友禅流しがあるから、昔はその工程は川沿いに立地しないとだめだった。だからほかの工程の人たちも川の近くに住んで、お互い自転車でまわれる距離なんです。だから、大田区のその感じは、お聞きしてみると想像がつくし、好きな感じです。
奥山●マニュファクチュアの世界ですよね。家族と親戚が社員になってるような小さい会社がいっぱいあって、そういう人たちが日本の輸出を支え、外貨を稼ぎ、それで経済を回している。
廿●大田区は、大学(過去に中退したほうじゃなく、今行っている大学)の演習で調べたんですけど、独特の地域だと感じました。商業とか観光に力を入れている気配が全くなくて(笑)。
そりゃあ大田区は世界に誇るウルトラ町工場地帯ではあるけど、実は羽田空港を擁する「交通の要」だし、温泉も出るというし、池上本門寺もあるし。やろうと思えば商業や観光だってできなくはないはずなのだ。
奥山●たしかに…。行政の施策も工業オンリーに近いですからね。
廿●その演習で競合地域の動向も調べたんですけど、大田区の商業系の指標は、隣の品川区に負けまくっている。
奥山●もちろん負けてます!
| 固定リンク


















