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横請けネットワークのパワー

 今回と次回は、3月に出たばかりの奥山さんのご著書『職人の作り方 ものづくり日本を支える大田区の「ひとづくり」』 マイコミ新書 をめぐって。

廿●私がお願いしているのは遠方の方が多いから、かえって地域密着っていうものに興味があるんです。今回のご本もすごくいいなあと思って。

奥山●私の場合は育児があったので遠くまで出られなかったし、夜出かけることもできなかった。そうすると、すぐ行けて、会えて、話せるっていう地域が最高なんですよね。見渡すとこの大田区って意外に広い地域で、仕事もそれなりにあって面白いなと。

廿●大田区にお住まいなんですか?

奥山●住まいは品川区です。独身時代に新宿区で会社を作ったんですけど、夫が大田区にいたので結婚で大田区に移転してきて、以来ずっと事業所は大田区です。

廿●大田区は、東京としては独特ですよね。

奥山●ええ、独特な地域特性を持っているので、この面白さを伝えていけたらという思いがあるんです。

廿●ご本の中に、「横請けネットワーク」って言葉が出てましたでしょう。あれは具体的にはどういう状態なんですか?

奥山●大田区の製造業は、専門会社が密集してるんですよ。金型だけ、旋盤だけ、磨きだけ、とか。
 彼らがクライアントから仕事を請けるときは「何でもできます」とまず言うんですね。例えば金型屋さんが仕事を請けるんですけど、まわりに小さい専門会社が密集してるから、全部できるってことにして、みんなに振るんです。

廿●ああ、なるほど。横請けというのは、下請けではないんですね。量が多くて自分のところで全部できないから下請けに出すっていうよりは、工程別に。

奥山●そう、工程別のプロフェッショナルに振っていくんですね。最終的に一つの製品にして納品するわけです。

廿●距離が近いからできることですね。

奥山●たしかにそうかもしれない。この地域でインターネットがなかなか普及しなかった理由は、自転車でまわれる距離にみんないるから。メール書くより、自転車で行って「お願いね!」って図面渡すほうが早いですから。

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