私には営業の才能が全くない
文月●廿さんは、仕事って営業して取ってくるの?
廿:去年はすごく仕事が少なくて、急きょ営業用のホームページを作ったんだけど、今度は仕事が来過ぎちゃって、やっぱり古いお客さんを優先せざるをえなかったので、結局ホームページは営業ストップ。
テープ起こし系の顧客獲得について私が語っている部分はカット。なぜというに…、読み返してみると、たぶん文月さんが私に尋ねたかったのは顧客獲得の具体的な方法ではないのだ。
廿:(中略)…だから出版関係は、出してくれる人を1人見つければ、ほかの人にも紹介してもらえるから芋づる式ですね。
文月●私、自分で仕事をじかに受注したことが一切なくて。まあ、何も活動してないから当然なんだけど。
廿:直請け、やりたいと思います?
文月●ホームページ作るところからやろうかと、最初は思ったの。そう思ってるところに、急に登録会社経由の忙しい波が来てその機を逃してしまって、結局ずっと下請け状態。…私、営業の才能が全くないんですよ。パソコンも全然くわしくないんです。
廿:直請けしたほうがお金はいいじゃないですか。
文月●うん、本当に。それで生計立てる!って最初は気負ってたんだけど、挫折っていうか、その時間もなかった。もちろん時間は作るものなんだろうけど…。
文月さんが「営業の才能」と呼んでいるのは具体的に何だろうか。それは本当に文月さんには「全くない」のだろうか。
と考える前に、「直請け」「下請け」という表現をもうちょっとクリアにしておきたい。
例えば、講演会を開催するA社が広告代理店B社にイベント運営を委託している場合、A社から講演のテープ起こしを受注するのが直請けで、B社から受注するのは下請けだろうと思う。
でも仲間内では、同業者(テープ起こしの会社、グループ、個人)から受注することを下請けと呼び、異業種から受注する場合はA社からでもB社からでも直請けと呼ぶような気がする。
私なりに整理してみると、まず直請けと呼ばれている形態は、「事業者性」の強さを意味する。発注者と対等の(本当はそうでもないけど)事業者同士として商談し、価格交渉する、その代わり発注者はテープ起こしの専門家ではないので頼れない、自分で納品物の品質に責任を持つ、というような。
これに対し、下請けと呼ばれている形態は「雇用者性」が強い。発注者に会うとすれば「商談」ではなく「採用時の面接」というニュアンスだし、パートの採用面接で「うちは時給○円からスタートです」と言われたら「はい」と答えるのと同様、価格交渉はしない。その代わり、発注者がテープ起こしを知っているのである程度寄りかかれる。
文月さんがここで言いたかったことや尋ねたかったことを、話している時点で気づいて掘り下げていればと悔しい。雇用者系で仕事してきた人が事業者系に移りたいとき、発注者との関係において何が障害になるか、どういう点で迷うか。大事なところだったのに…。文月さんに営業の才能がないとは思えないのに。
でも、私は別の角度からこの問題をもう一度取り上げている。それは次回。
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