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ブームは去った

 最初から入力のことをよく知っていて、ぜひ入力者になりたいという信念でこの仕事を始める人は、案外少ない。
 最初は、むしろ「在宅」という言葉にひかれるのだ。家でできる仕事。

 人間関係が苦手だからという場合もあるし、体が弱いとか夫の転勤が多いという理由もある。幼い子供や介護が必要な老人が家にいるからという理由もある。
 「在宅で仕事をしたい」のが「お金が欲しいから」であれば、別に入力でなくてもかまわない
 アフィリエイトでもプチ株式投資でもいいわけだ。ネット上のアンケートに答えてポイントを稼ぐなども根強い人気がある。
 だから入力者・入力希望者の数は、そのときの流行で人数が大きく増減する。

 過去何度かブームはあった。
 1994年以降の在宅ワークブーム
 1998年以降のSOHOブーム
 2000~2001年頃はテープ起こしの通信教育全盛期で、毎日のように新聞・雑誌に「テープ起こしの技術を身につければこんなに稼げる」というような甘い広告が載っていた。いわばテープ起こしブームだ。

 ブームというのはたいてい1年ほどで下火になるのだが、ここまでは下火になると次のブームが起きていた。最初のブームで入ってきた人が、コンスタントな仕事量を確保できず撤退したり、子供が大きくなって外へ働きに出たりしても、次のブームで新しい人が入ってきていた。

 テープ起こし通信教育の1つが「内職商法」として家宅捜索を受けたのが2002年(もちろんもっと前から疑われてはいた)、その会社の幹部が起訴されたのが2003年、主犯に実刑判決が下ったのが2004年。「試験に合格すれば仕事をあっせんする」と教材を売ったのに、ほとんど誰も合格させなかったのだ。
 これ以来、ブームは起きていない。大ヒットした入力系の通信教育もない。音を立てて波は引いた。

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