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定年男性はデータ入力など志さずに…

 私の両親は共に60歳代。
 去年だったか一昨年だったか、例の「IT講習」なるものを夫婦で受講した。父は、インストラクターに質問するとき「あー、ちょっと。ここ教えて」という調子だったらしい。家へ帰ってから、母が父をたしなめた。「若い人であっても、先生は先生。ものを教わるのに尊大な態度をとってはいけない」
 言われれば気づくもので、講習2日目からは、父も態度を改めたという。

 定年後の楽しみ兼ささやかな収入を求めて、在宅入力を希望する男性もいる。だが、私がパートしていた入力会社では、そういう立場の人から応募があっても「ちょっとやめておこう」という話になっていた。
 自分よりずっと年少の者、しかも女性を、ボスとして立ててくれるかどうか。男性側だって頭ではわかっているだろうが、たぶん「あー、ちょっと」的な部分が、つい出てしまうのではないだろうか。

 データ入力の単価は安い。丁重にご説明申し上げているヒマなどない。ミスを指摘したとき、理屈を言わずに「申しわけありません。次から気を付けます」と引き下がってくれないと、時間(=コスト)の浪費になる。

 どっちみち、データ入力は体力勝負だし、眼が衰えてくるとスピードが上がらないから、60歳代以上の人に向く仕事ではない。自分のサークルの名簿を入力するぐらいならどの年代の人でもできるだろうが、仕事としては数をこなさなければお金にならない。会社では、女性でも60歳代以上の人は在宅さんとして採らなかった。
(入力者本人はお金にならなくてもやりたいと思うかもしれないが、入力会社にとっては、たとえば1日50件打つ人より1日200件打つ人のほうがありがたい。)

 女性なら50歳代を採ることはあった。おもしろいことに、女性は、年上であっても使いにくくない。たぶんそれは、入力を志す中年女性は管理職出身だったりはしないからだろう。もちろん使いにくい人もいるが、その割合は中年以外の人と同様だ。
 社会で経験を積んできた男性は、定年後に単純入力作業など目指さず、経験を生かす方向で仕事をすればいいのにと思わずにいられない。

(2003年04月11日)

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